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地域発の社会起業家が国を動かす時代へ
OSUSOが挑む「社会を変えるリーダー100人構想」

2026/04/09

持続可能な財源と応援者のコミュニティ。その土台が整ったとき、社会起業家の挑戦はどこまで加速するのだろうか。

社会に変革をもたらすリーダーを100人創出すること。掲げる目標の先に見据えるのは、中央集権でもピラミッド型でもない、ダイヤモンド型社会という新しい社会構造だという。

社会起業家が国を動かす。そんな未来が本当に現実になり得るのか。後編では、OSUSOの構想の核心に迫る。

仕組みを渡して終わらせない。徹底した伴走支援


―前編ではOSUSOが設計した資金モデルと、出資者を「応援者」に変える仕組みについて伺いました。具体的にOSUSOでは、どのようなサポートを行っているのでしょうか。

新田 僕らは、誰もが結果を出せる再現性の高いパッケージモデルをつくることによって、成功する社会起業を量産することを目指しています。事業の内容は違ってもやるべきことには共通点があります。共感を生み、財源と仲間を集め、それを広げていく。その流れを6段階にして「ソーシャルセクターのTHE MODEL」として整理しました(下画像)。このフレームワークが循環するようになると、社会起業家の事業基盤がどんどん強くなっていきます。

―このTHE MODELにある「01.おすそわけを創造する」から伴走を始めているのですか?

新田 そうです。大切なのは、「共感される事業」をつくること。ですから、事業の構築からサポートに入っています。具体的に言うと起業家と壁打ちをしながら彼らの想いや解決したい課題、持っている資本などを整理し、応援者に「自分ごと化」してもらえるようデータや事実などの問題の背景を調べます。そのうえで応援者が関われるモノ・コトやリターンを設計し、共感される事業へと組み立てていきます。

―起業家の想いを事業という形にしていくサポートですね。

新田 中小企業の経営者に向けた提案資料もフレーム化していて、僕らの方で構成から作成まで行っています。ここがしっかり設計できていれば、応援してもらうこと自体はそれほど難しくないはずです。みなさん、それだけの強い想いがありますから。活動が軌道に乗るまでのスピードも格段に上がります。

―想いはあっても形にする方法や継続させる方法がわからず、活動が進まない。そんな人たちもこのフレームワークがあると、進み方が見えてきそうですね。

新田 ただ実際に経営者にプレゼンをするのは、僕らではなく起業家です。なぜなら応援は仕組みにつくものではなく、人につくものですから。また前編でお話ししたコミュニティづくりや、活動が走り出した後の決済フォームの管理や月次レポートの作成、請求業務といったバックオフィスの機能もOSUSOで担います。

―かなり手厚いサポートですね。

新田 リーダーが事務作業や資金管理に追われてしまうと、どうしても活動のスピードが落ちてしまいます。彼らには本来やるべきことに注力してもらい、肝心の現場の活動が止まってしまうのを防ぎたいんです。

100人構想は現実的か。走り始めたリーダーたち


―今、OSUSOのサポートで何人くらいのリーダーが走り出しているのでしょうか?

新田 今は約20人で、今年の9月までには30人程度になる見込みです。月に2人くらいのペースで新しいリーダーが生まれています。リーダーのうち10人ほどは、地域の課題解決や地方創生を活動テーマに掲げています。

―OSUSOのホームページに「社会を変えるリーダーを100人創出」とありました。

新田 「100人」はわかりやすく書いた数字ではありますが、来年には50人を超えると見込んでいます。近い未来に日本で一番大きな、社会起業家と伴走しながらともに成長していく会社なれると考えています。

―数字としての成果も出てき始めていますか?

新田 活動開始から3カ月で年間1000万円、約半年で年間2300万円の財源が見込める環境ができている人もいます。ただ起業家によってペースにはばらつきがありますね。営業の積極性も違えば、事業そのものの共感性にも差があるので。それでも僕たちはどのリーダーでも3カ月目には年間1000万円の財源が毎年入る環境を作れるように、モデルを磨き続けているところです。

伴走の中で生まれたリーダーたちの変化


―OSUSOのモデルを取り入れたことで、活動自体に変化や広がりが生まれた例などありますか?

新田 数字としても一番良い結果を出しているのが、「アスレチカ」というアスリートのセカンドキャリア支援団体です。アスリートが現役引退後、社会で活躍するためのスキルやノウハウの取得をサポートしていて、これまではアスリートからの参加費で運営をしていました。ここは財源を手に入れただけでなく、経営者との関わりができたことで参加するアスリート達の活躍の場に広がりが出始めています。経営者にとってもアスリートとの繋がりを嬉しく思う人も多く、リーダー、参加者、応援者のWIN-WINの輪が生まれています。

―先日、ロコ・ラボで紹介させていただいた、「田んぼ倶楽部」のいわせ直美さんも、OSUSOのリーダー構想に参加しているお一人だとか。

新田 いわせさんは日本の田んぼを残したいという、高い志を持って活動されていました。当初は個人向けにお米を販売していたのですが、それだけでは社会問題を解決する規模になるのはどうしても難しかった。改めて僕たちと一緒に事業を構築し、企業向けをメインとした事業モデルに切り替えて現在があります。OSUSOモデルを取り入れたことでボランティアに近い感覚から「事業」として、いわせさんの意識も切り替わったように感じています。

―「事業」として成立させることで、活動の規模が変わっていくのですね。新田さんが思う、OSUSOがサポートしたいリーダー像というのは?

新田 大前提として、人生を賭けて本気でやっている人であるかどうかですね。その上で、これまで積み上げてきた信頼や実績、つまり信頼資本があるかもポイントです。新しく活動を立ち上げる人の場合は応援してもらえる人かどうかという意味で、関係資本をどれだけ持っているかを見ています。

活動の分野についてはどれもが社会的意義があり、価値があると思っていますので限定はしていません。共感され、応援が集まるように磨いていくのは僕らの役割。そこは自信を持っています。

民間主導の国づくり、社会起業家が国を動かす未来へ


―新田さんは社会を変えるリーダーが増えた先に、どのような社会の姿を描いているのでしょうか。

新田 僕はこれからの日本をダイヤモンド型の社会構造にしていきたいと考えています。日産の創業者である鮎川義介さんは「ダイヤモンド型社会構造」を提唱し、中間層が厚い社会こそ富が広く共有される健全な社会だと説いていました。

今の日本はピラミッド型の社会構造で、上に大きな企業があり、下に小さな団体や個人がいますよね。社会起業家が全国規模で増えていくことで、この中間層を厚くしていけると考えています。

―社会課題を解決する団体や人が、日本の社会構造に影響を及ぼす時代が来るのでしょうか。

新田 2万7500団体。これが僕らが試算した数字的エビデンスです。この数の団体が年間2000〜3000万円程度の財源を元に活動するようになると、日本の中規模団体層が全体の50%以上を占めるようになります。そのために2万7500人のリーダーを創出していかなければならない。OSUSOのような再現性の高いパッケージが広がれば、不可能な数ではないと思います。

―大きな団体やカリスマ的なリーダーよりも中規模の団体やそれを率いるリーダーが多数立ち上がる方が、影響力が大きいのですね。

新田 大きい団体や大企業が成功モデルをつくっても、誰も真似できないですから。そもそも身近な社会問題の解決は、身近なリーダ―が立ち上がり推進していけば解決されていくんです。日本に住む僕たちは、それを度重なる震災などの自然災害などで目の当たりにしてきたはずです。その地域、その地方でリーダーが生まれ、周りの人たちと手を取り合って、問題の解決に邁進していましたよね。

―誰もがリーダーとして立ち上がれる可能性が、OSUSOのモデルにはあると感じました。

新田 中間層が厚くなるということは、日本が強い社会問題解決のプロ集団を抱えることに繋がります。1本だと細い稲藁も束になると強く太いしめ縄になるように、一つひとつのエネルギーは小さくても、集まることで大きく強い共同体、国になっていく。これってとても日本人らしいですよね。2万7000人のリーダーと応援者のコミュニティ。社会起業家たちの想いが国を動かす未来も、決して夢ではありません。

新田拓真(にったたくま)
株式会社USTUS代表取締役。宮城県石巻市出身。東日本大震災をきっかけに、社会貢献に対する想いが芽生え、社会課題解決に取り組む企業に就職。2014年に植物×おすそわけ事業「URBAN GREEN MAKERS」をスタート。独立後、2018年に食×おすそわけ事業「BURGERS TOKYO」などを立ち上げる。2023年、社会貢献プラットフォーム「OSUSO」をリリース。おすそわけを軸とした独自の世界観を創り上げる社会起業家として活動。

写真/五十嵐美弥

取材・文/福田真木子