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MIYASHITA PARKが緑に染まった2日間 『City Green Fes. 2026』で産官学民が挑む渋谷「循環の街」へのアップデート

2026/07/02

5月23日・24日の2日間、東京・渋谷のMIYASHITA PARKで、都市型エシカルフェスティバル『City Green Fes. 2026』が開催された。

City Green Fes. 2026

「都市に緑を、エシカルをカルチャーに」をミッションに掲げ、渋谷の屋上を「森」に見立てた同イベント。コンセプトである「RE:WILDING TOKYO」を体現するように、会場は自然素材を活かした空間演出と、若者たちの熱気に包まれていた。5月24日の最終日の様子を中心に、現場の熱気と出展者の想いを紹介する。

■積水ハウス、アサヒ飲料ら大手も参画 渋谷をフィールドにした「1万人規模のサーキュラー実験」

渋谷・MIYASHITA PARK屋上

『City Green Fes. 2026』は、明治通り宮下パーク商店会、一般社団法人City Green、株式会社HOKULEAが主催。三井不動産、アサヒ飲料、積水ハウス、KEEN、Jackeryといった大手企業や、30を超えるエシカルブランドが参画し、産官学民が一体となって「消費の街・渋谷」を「循環の街」へとアップデートする、延べ1万人規模のサーキュラー実験イベントだ。

30を超える企業・ブランドが集結

会場のMIYASHITA PARK屋上では、芝生の上にさまざまなブランドの出展ブースが並ぶと同時に、ヨガスペースやDJブースなども広がる。青空と芝生の緑に囲まれ、大都会・渋谷のど真ん中であることを忘れるほど解放感がある。

芝生と空が広がる空間

最終日のこの日も、子どもから大人まで、男女問わず、外国人も含めたくさんの人が行き交っていた。会場ではアサヒが提供する植物由来の原料を使用したNOシュガー・NOカロリー・保存料不使用の『green cola』が無料で配布された。

green cola

また芝生の上に敷いたシートでは、一般社団法人凸凹もへじによるインクルーシブ教育プログラムのオリジナル紙芝居『みんなのトモダチ』の読み聞かせが実施された。『みんなのトモダチ』は、人それぞれの個性や障がい(凹凸)の理解を深め、誰もが心の中に“自分ごとの種”をまく参加型のプログラム。この日は赤ちゃんや子どもたちが集まり、大人も一緒に紙芝居に耳を傾けた。

インクルーシブ紙芝居『みんなのトモダチ』

主催者である一般社団法人City Green代表理事でHOKULEA代表の森慧太郎氏は、開催の手応えを次のように語った。

「当初の予想を遥かに上回る多くの方々に足をお運びいただき、初日から会場は想像以上の熱気に包まれました。今回は渋谷区のバックアップや商店会の協力、そして運営チーム50人のうち30人以上を占める学生たちの若い力が合わさり、まさに産官学民が一体となった『循環の街』へのアップデートが実現できたと確信しています。今回のフェスのテーマである『RE:Wilding TOKYO』が示す通り、都市の真ん中で自然を感じ、エシカルを“我慢や義務”として捉えるのではなく、性別や国籍を超えて誰もが理屈抜きで楽しめる『最もクールなカルチャー』として発信できた手応えを感じています。この熱量を一過性のものにせず、ここ渋谷からさらに大きなうねりを作っていきます」

■ 大手企業が描く「ネイチャー・ポジティブ」な未来

積水ハウスの新ロゴ

会場内で目を引いたのが、積水ハウス株式会社のブース。同社が進める「5本の樹」計画が25周年を迎えたことを記念し、新ロゴをあしらったオリジナル飲料水のサンプリングや、生物多様性を学ぶ体験を展開した。

ロゴが描かれた飲料水

「5本の樹」計画は、“3本は鳥のために、2本は蝶のために”をコンセプトに、地域の在来樹種を中心とした庭づくりを通じて都市の緑化と生物多様性の回復を目指すもの。この日は、ロゴを見た瞬間に「樹・花」「鳥・蝶」「ひと」の何に見えるかのアンケートも行い、ロゴと「5本の樹」計画をアピールした。

同社コミュニケーションデザイン部の安藤恵一氏は「5本の樹」計画について、「在来種を植えることで生態系を守るこの活動は、実は人のウェルビーイングにも直結します」と語る。「庭で自然に触れることは、習慣的な運動と同等のうつ病リスク低下が認められているんです。今回は若者の街・渋谷で、彼らが何に興味を持つかを探るフィールドワークも兼ねています。一人ひとりが1本の植樹から環境を変えていく『ネイチャー・ポジティブ』を広めていきたいですね」と意気込んだ。

■ 「農業」や「和素材」を新しいライフスタイルに

ライフスタイルや食に関するブースも多い

食やライフスタイルのエリアでは、伝統や一次産業をクリイティブに再解釈するブースが並んだ。

全国の若手農家コミュニティを率いるSHIKI FARMERS CLUBの代表・横江巧真氏は、現役農家として毎日泥にまみれながら活動している。

SHIKI FARMERS CLUBの横江巧真氏(左)

「『農家になりたい』と思う若者が増えるような世界線を作りたい。単に物を売るだけでなく、誰がどんな想いで作っているかというストーリーを大切にしています。SHIKI FARMERS CLUBには、いい意味で“浮いた”面白い農家が集まっていて、横の繋がりで新しい販路やコラボも生まれています」

また、小豆(あずき)をベースにしたスキンケアブランド『komame』を展開する株式会社ビーンズプラスの遠藤海周氏は、意外な視点からエシカルを提案。

スキンケアブランド『komame』

「あずき茶から始まり、その抗酸化作用を活かしたスキンケアまで展開しています。店舗を持たず小さく運営していますが、こうしたフェスで直接、和素材の良さを体験してもらえるのは貴重な機会です」

その他にも、「わたしの体だから、 いいものを。」をコンセプトに1993年植物療法士によって創立され、西洋ハーブとアーユルヴェーダを融合したオーガニック製品のパイオニアブランドNOVA ORGANICSは、カナダ・ノバスコシア半島から現代の暮らしに寄り添うオーガニックサプリメントを届ける。

オーガニックサプリメントブランド『NOVA ORGANICS』

「eco庭」と称したホテル内の独自の循環プロジェクトでサステナブルな取り組みを実施している水道橋の庭のホテルは、屋上養蜂で採れたハチミツを使用したオリジナルドリンクを提供した。

庭のホテルの屋上養蜂で採れたハチミツ

■ 地域と伝統を「アップサイクル」で繋ぐ

ワークショップエリアでは、廃材や間伐材に新しい価値を与える試みが注目を集めた。

GREEN BASEによる「竹あかり」ワークショップ

千葉県市原市の里山保全を行うコミュニティ・GREEN BASEは、間伐した竹を使った「竹あかり」のワークショップを実施。

間伐した竹にドリルで穴をあけて「竹あかり」を作る

同コミュニティの島田琉太郎氏は「活動の拠点は千葉ですが、SNSを通じて繋がった縁で出展しました」と今回の出展について説明。「里山で出る膨大な竹を、ただ捨てるのではなく、アートやワークショップの素材として活用することで、都市の人にも山の現状を知ってもらうきっかけになれば」と語った。

廃棄される竹がアートに生まれ変わった

また、滋賀県長浜市から参加したクリエイティブチーム「HikU(ヒク)」は、伝統工芸の職人とコラボしたアウトドアギアを展示。

クリエイティブチーム「HikU(ヒク)」

「漆塗りや組子細工など、裏方に徹しがちな職人の技術をキャンプ道具などに転用し、『三方よし』の精神でカッコよく見せていきたい。全国から『この技術を学びたい』と長浜に若者が集まるような流れを作りたいんです」と、江戸時代の火消しをモチーフにした刺し子のウェアを纏いながら熱く語ってくれた。

トナー転写を体験できるワークショップ

ここではウッド×レザーの廃材を活用したオリジナルチャーム作りのワークショップも体験。トナー転写を使って木にインクを移しながら、パワーストーンを取り付けて自分だけのキーホルダーを作ることができた。

廃材を活用しオリジナルチャームが完成

■渋谷発、サステナブルな都市観光への確かな一歩

『City Green Fes. 2026』は単なる環境イベントの枠を超え、音楽、アート、ビジネス、そして教育が交差する場となっている。

渋谷の街から広がるエシカルなムーブメント

会場を訪れた人々がリユース食器で食事を楽しみ、ヨガで身を整え、ゴミ拾いラン(プロギング)に参加する。その光景は、森氏が目指した「気づけば地球に良い選択をしている」という軽やかなエシカルの形そのものだ。

渋谷の街をジャックしたこの2日間のムーブメントは、2026年の日本におけるサステナブルな都市観光の、確かな一歩となるかもしれない。そして企業や団体、学生が地域と積極的に関わることで。新たな価値とパワーが生まれることを証明した形になるだろう。

取材・文/コティマム