
夢二郷土美術館は、岡山出身の詩人画家・竹久夢二(1884-1934)の作品の里がえりを念じて1966年に創立され、今年で60周年を迎えます。このたび夢二が1933年にドイツ・ベルリン滞在中に描き、秘蔵されていた美人画《南枝早春》の寄贈を受け、初公開する特別展「夢二とドイツ」を2026年9月4日(金)から12月6日(日)まで開催します。
本館では、夢二が晩年にドイツの美術学校バウハウスから独立したベルリンの「イッテン・シューレ(画塾)」で日本画講師を務めた時代に焦点を当てます。
このたび初公開となる《南枝早春》は、当時画塾で夢二の通訳を務めた他、生活を支えた外交官の今井茂郎氏に贈られた作品で、今井公子夫人をイメージして描いたとされます。ご遺族から夢二郷土美術館へ寄贈を受け、創立60周年の節目にふるさと岡山へと里がえりを果たすこととなりました。修復と科学調査を経て判明した画材や、ドイツ時代に描いた作品からみえてくる、夢二の晩年の新たな画風への挑戦をご紹介します。
本展では他にも、日本画の講義のために執筆した『日本画に就いて』や生徒への技法指導を目的とした墨絵(京都国立近代美術館蔵、岡山では初公開)、生徒たちの習作(正宗文庫蔵、展示としては初公開)など、夢二とイッテン・シューレに関する貴重な資料を展示します。
さらに、夢二が晩年まで手元に置いていた「外遊スケッチ(正木不如丘旧蔵)」から、ヨーロッパ滞在中に描かれた作品約10点も初公開。ナチスの台頭に激動するベルリンで夢二が何を感じ表現したのか、外遊中の夢二の足跡をたどります。

竹久夢二《南枝早春》夢二郷土美術館蔵
1931(昭和6)年から欧米へ外遊にでた竹久夢二がドイツ・ベルリンに滞在していた1933(昭和8)年に制作した作品です。
日本髪に赤いきものをまとった瞳が印象的な女性がテーブルにおかれた本を前に肘をついて物思いにふけり、その背景に雪がふんわりと積もった梅の花が咲いた枝が描かれています。また、墨で「千九百三十三年 南枝早春 伯林客中 夢生」と制作年、タイトルとサインが書かれています。
本作は、夢二がベルリンのイッテン・シューレ(画塾)で日本画講師を務めた際に通訳をつとめるなど活動を支え、また生活の面倒もみた外交官の今井茂郎氏に贈った作品で、異国の地で創作を続けた夢二が、夫妻への感謝を込めて贈った作品です。最晩年の夢二式美人を描いた傑作のひとつ。
本作の特徴は、日本画の画材を西洋の画材とともに用いながら油彩画を思わせる重厚な色づかいや西洋的な画面構成等を取り入れた表現にあります。
このたび今井茂郎氏の息子である今井葵(まもる)・英子(ひでこ)ご夫妻によるぜひふるさと岡山で多くの方に大事に伝えていただきたいという思いで、夢二郷土美術館へ寄贈されて里がえりしました。

竹久夢二《ベンチに座る男性の居る風景》夢二郷土美術館蔵

竹久夢二《ベルリンの公園》夢二郷土美術館蔵
屏風作品4点、軸装作品14点(うち後期のみの展示1点)、額装日本画22点(うち初公開1点、借用作品11点〔岡山初公開〕)、その他日本画11点(借用作品、美術館では初公開)、油彩画3点(うち前期のみの展示1点)、スケッチ・水彩画等25点(うち初公開10点)、木版1点、著作本7点、雑誌・新聞17点、その他(日記、資料など)26点
会期:2026年9月4日(金)~12月6日(日)
会場:夢二郷土美術館本館
住所:岡山県岡山市中区浜2-1-32
開館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(祝日・振替休日の場合は翌日)
入館料
[本館入館券]大人1,000円、中高大学生600円、小学生400円(すべて税込)
[本館、夢二生家記念館・少年山荘共通入館券]大人1,300円、中高大学生650円、小学生500円(すべて税込)
※20名以上の団体は2割引、岡山県内の65歳以上の方は証明できるもののご提示で1割引。割引の併用は不可
※ゆめびぃ会員は入館無料
構成/久保 葵