はじめまして。コロコロコミック編集部 副編集長の小林浩一です。今日は、私の仕事についてお話しします。実は今、コロコロコミックで地方創生の企画を立ち上げ、推進しています。
コロコロと地方創生。ギャップのある組み合わせだと思いますが、この取り組みがどんな思いと経緯で進んで行ったのか、解説します。
3年ほど前になりますが、息子と自宅の前の路地でキャッチボールをしていたんです。すると近隣の方から注意を受けました。無言でキャッチボールをするわけにもいかないので、それなりに騒音が出て、通行する方もいて危ないからです。
では、とボ―ルとグローブを持って公園へ。すると「ボールで遊ばないで」と書かれた看板が立っている。理由があって作られたルールだと思うので従います。途方に暮れた私たち親子ですが、その時ふと、「もう二度と息子とキャッチボールができないのではないか…」という思いが頭をよぎりました(もちろん、きちんとした施設に行けばできるのですが、塾や何やで、忙しい息子と気軽に遊ぶ機会は減っていました)。
自分が幼かった頃は、どこででもキャッチボールができたし、魚や虫を取るなど自然の中で遊ぶことができた。これって「豊かな経験」だったなと振り返りました。時代が違うから、で諦めたくない。我が子にも、そして全ての子ども(少し大げさですが)に豊かな経験をしてもらいたい。それが地方創生の活動につながっていきます。
コロコロ編集部で副編集長についているのですが、コロコロとは“こどもを笑顔にするもの”だと思って仕事をしています。なので、全ての子どもが豊かな体験ができる場所をコロコロが作ればいいじゃないか、と考えるようになりました。
そのことを役所に勤めている友人に話してみると、議会の承認を得るなど様々な手続きを踏まねばならず、例えばコロコロコミックの公園を作るには順調に企画が進んだとしても3〜5年はかかるらしい。しかも、全国にはたくさんの公園がすでにある(もちろん気軽にキャッチボールができる公園も)。
そこで思いついたのが、「ふるさと納税」の制度。自治体に協力してもらって、ふるさと納税の返礼品を“その地域の公園での遊び体験”にすれば、数々の承認や公園を作る手間も省けてスピーディに子どもたちに思い切り遊べる場所を提供できる。
でも、公園さえあれば「豊かな経験」ができるのか…?
そこは、自分で現地を訪れて(体験して)確かめればいいことだと考えました。
そうして知り合いの伝手を使いながら、いくつかの自治体に連絡して、コロコロと組むことに前向きになってくれたのが静岡県の沼津市。漁港で有名な町ですが、他にもたくさんの魅力的なスポットがあります。
中でも注目したのが、「INN THE PARK(イン・ザ・パーク)」。約600,000 ㎡(※東京ドーム約12個分)もの広大な“泊まれる公園”で、園内には木々に吊るされて宙に浮いている球体型のテントがある!
控えめに言っても最高! 息子と泊まってみたい!
実際に訪ねてみると、テントの周りは森で、小川が流れている。息子はズーっと笑っていて、キャッチボールやサワガニ取りなどを一緒に(これが今の私の豊かな経験です)楽しみました。返礼品にするにあたり、球体のテントを「コロコロテント」と名付け、最新のコロコロコミックを置き、編集長からの手紙をプレゼントすることにしました。
結果はすぐに売り切れとなり、増枠をするほどの大好評。様々な新聞やwebメディアで取り上げられ、『コロコロ』×『ふるさと納税』の施策は広く知られることになりました。
「子どもと気軽にキャッチボールをしたい」という思いから始まった試みはふるさと納税と結びつき、地方創生の活動となったのです。
その後も鎌倉市で湘南モノレールの一日駅長体験、目黒区で銀ロウ付け体験、桑名市で鋳造体験など、その地域と関わりの深いものを体験できるようプロデュースしました。
また、体験して終わりではもったいないと思い、家に帰ってからも体験が残るように認定証を作り、漫画家さんにも協力していただいて記念の品を制作しました。これらもコロコロならではの制作物になっていて、子どもはもちろん、かつてコロコロ読者だった親御さんからもご好評いただきました。