※この記事は「ビーパル」に掲載されたものです。
米国西海岸に位置するオレゴン州に生まれ育ち、大学卒業後に日本を訪れたことをきっかけに独特な文化や自然環境に魅了された。そう語るのは、英語で日本のアウトドア事情を伝えるガードナー・ロビンソンさんである。
彼は、外国人のためのアウトドア情報を発信するオンライン・メディア「アウトドアジャパン」を2000年に開設。’05年からは、紙媒体としての『アウトドアジャパン・マガジン』も年4回発行している。そんな彼に、海外から見た日本のアウトドアの魅力について語ってもらった。
米国西海岸に位置するオレゴン州に生まれ育ち、大学卒業後に日本を訪れたことをきっかけに独特な文化や自然環境に魅了された。そう語るのは、英語で日本のアウトドア事情を伝えるガードナー・ロビンソンさんである。彼は、外国人のためのアウトドア情報を発信するオンライン・メディア「アウトドアジャパン」を2,000年に開設。’05年からは、紙媒体としての『アウトドアジャパン・マガジン』も年4回発行している。
ウェブサイトでは、ハイキングやサイクリング、ラフティングのほか、キャンプやバンジージャンプなど日本で楽しむことができるアウトドア情報をひとつひとつ丁寧に紹介。世界中のスキーヤー&スノーボーダーたちが求めるパウダースノーについてはもちろん、日本各地の特色ある土地の魅力を伝える読み物、クラフトビールについてのコラムなど、日本人にもぜひとも読んでもらいたい企画がずらりと並ぶ。
ロビンソンさんが日本文化に魅了されたのは、’97年のこと。長野県諏訪市で7年間に一度だけ行なわれる御柱祭との出会いがきっかけだった。
「日本で住みはじめたばかりの僕は、諏訪市内で生活していたんです。自宅が御柱祭の開催場所のすぐ裏手でね。長野県ではオリンピックも行なわれていて、海外からもたくさんの人が来ていた。それでもまだ、東京や大阪といった大都市のほか、京都などの観光地を巡るのが一般的でした」
当時の訪日客にとって、御柱祭は知る人ぞ知る存在。しかし現在の状況は様変わりしており、ロビンソンさん同様に日本の祭りに魅了された人々で会場は大賑わいとなっている。
アウトドアスポットにも、熱い視線が世界から集まる。以前は日本語以外の情報は非常に限られており、豊かな自然があることも知らずに帰国していく人がほとんどだった。しかしいまは、スキーや登山を目的として日本を旅先に選ぶ人たちが少なくない。
アウトドアジャパン読者も、かつては記事を読んではじめてその場所を知ったという人がほとんどだった。それがいまは目的の場所をすでに決めているなかで、さらに詳しい情報を求めてウェブサイトを訪れてくる人が多くを占める。
「はじめて日本に来る人たちは、まずは東京や京都、大阪といった大都市を訪れる。けれども2回目、3回目になると日本の田舎に目を向けていく。彼らは、日本のことを本当によく知っている。以前は誰も知らなかったような秘境、お寺や神社といった伝統的な場所から、お祭り、アウトドアスポットについて、すでにかなりの情報を持っているんです。
最初はスキーをするためだけに来ていた人も、日本が大好きになってほかのシーズンにも訪れるようになっている。そのなかには友達を作って、彼らに会いに訪日する人もいます。ソーシャルメディアなどで情報が入手しやすくなったことが影響しているんだと思うけど、この10年ほどで本当に多くのことが変わりました」
ロビンソンさん一家は、冬のあいだは長野県の野沢温泉村、そのほかの季節は沖縄県読谷村で暮らしている。古民家を改修した宿泊施設を開いたり、国内外のクラフトビールと餃子が人気の飲食店もはじめた。アウトドアジャパンも写真と文字情報だけでなく、近年は映像コンテンツにも力を入れ、もっと日本を知りたいという読者の期待に応えている。
新型コロナウイルスの世界的流行で冷え切ったインバウンド需要。しかし、昨年の10月から入国制限が完全に撤廃されており、訪日客はかつてない勢いで増えている。昨冬は撤廃直後ということもあってスノーリゾートを訪れる人はそれほど多くはなかったと話すロビンソンさんだが、「来冬は、さらに増加する」と予想する。
「いま世界中の人たちが日本に夢中になっているのは、自分の国とはまったく異なる文化を見ることができるからでしょう。しかも、日本は本当に安全で、政治的にも安定している。街は綺麗だし、見どころも多い。人も、みな親切ですよね。それに、なんといっても食事が抜群に美味しいことが最高です」
そのいっぽうで、オーバーツーリズムなどの問題が起きていることも事実だ。
「いま起きている問題に対処しながら、日本ならではの魅力を失わないようにしていくことが大切です。日本を訪れる人たちと地元の人たちが触れあいを深め、相互理解が生まれるような旅が理想になります。そうした交流を続けることで、いま起こっている問題の多くが解決できるはずです」
冬のあいだロビンソン家族が暮らす野沢温泉の「道祖神祭り」。毎年1月に行なわれる祭りで、街の誇りだ。
無料の共同浴場が整備された野沢温泉。こうした景色が外国人を魅了する。
ロビンソン家族が作った宿泊施設「YOJI NOZAWA」は、野沢温泉の中心部にある。
ガードナーさんが注目する東北地方には、自然を楽しみながら日本文化に触れることができる場所が多い。
外国人に人気の寿司やラーメンの次は、餃子ブームが訪れると予想。
9月20日OPEN
住所:静岡県駿東郡小山町中日向694 富士スピードウェイ内
HP:https://www.nap-camp.com/shizuoka/16477
グレード1サーキットのインサイドエリアに世界で初めて常設されるキャンプ場。雄大な富士山とレースの迫力の両方が楽しめ、レンタル品も充実している。レースコースをマイカーで走れる、体験走行イベントも日時限定で開催予定。
2025年OPEN
住所:沖縄県名護市・今帰仁村
HP:https://junglia.jp/
ゴルフ場跡地を活用した次世代テーマパークが、沖縄北部のやんばるエリアに誕生。沖縄の大森林の魅力を、世界に広くアピールする。恐竜に追いかけられるライドアトラクションや、やんばるの自然と海を360度見渡せる気球などのアトラクションに注目。
※構成/村石太郎
写真提供/アウトドアジャパン(https://www.outdoorjapan.com/)、ジャパンエンターテイメント
(BE-PAL 2024年10月号より)