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鳥取県が全国初!ANA職員の兼業「ANA地方創生プロジェクト」のメリットとは?

2025/06/03

鳥取県は、全日本空輸株式会社(以下「ANA」)との間で、鳥取県での兼業を活用した地方移住プロジェクト「ANA地方創生プロジェクト」を2021年12月から全国初の取り組みとして進めてきました。 今までに11人のANAの客室乗務員(CA)が鳥取県に移住して地元の企業などで兼業を行い、CAの仕事のかたわら住んでわかった鳥取の良さを全国に伝えており、令和6年度は4名のANA職員が鳥取県内で兼業を行っていました。今回は、3年間、鳥取県庁で兼業を行った金井塚千秋さんに、兼業の取り組みやその実態について教えていただきました。

全日本空輸株式会社・鳥取県庁 金井塚 千秋さん(Kanaizuka Chiaki)
鳥取県・白兎海岸にて

金井塚さんは埼玉県出身。2018年、客室乗務員(CA)として全日本空輸株式会社(ANA)に入社。コロナ禍でANAが地方居住と兼業をセットで行う地方創生の取組みを打ち出したことをきっかけに「新たなことに挑戦したい」と発起し、2021年12月に鳥取県に移住。CAとして国内線・国際線双方の乗務を続けながら、3年間鳥取県庁で「とっとりへウェルカニコーディネーター」として勤務し、鳥取の魅力を国内外へ発信。

インスタグラム“とっとりdiary”を活用して日本語と英語で情報発信

具体的に県庁でどのような業務を行っていたのか聞いてみました。

「鳥取県庁では、主にSNSを通じた情報発信やCAとしての経験を生かした接遇研修を担当しており、特にインスタグラム“とっとりdiary”での情報発信に力を入れています。鳥取の風景や日常の暮らしを、英語と日本語でUPしており、その際はまず見てもらうために、その季節、その場所でしか見られない景色を、“写真”でどう伝えるのかという観点を意識して取り組んでいます」

金井塚さんは、個人的に写真の撮影方法を学ぶなど、意欲的に業務に取り組まれています。

また、実際に投稿を見た方から、「鳥取のお勧めを教えてほしい」「鳥取に住むのが楽しみになりました」などのメッセージをいただくこともあり、県内外の人々への周知に着実につながっているとも感じているそうです。

新しい働き方や経験を通じて、自己成長できるきっかけに

兼業をしてみてどんな変化が起きたのか、兼業についてどのように感じているか聞いてみました。

「CAはチームで一つのフライトを作っていきますが、鳥取県での業務は自分で提案し、形にしていくという点で、新たな自分の可能性に気づくと同時に、視野が広がったと感じています。CA業務とは違った働き方や経験を通じて、自分自身をさらに成長させることができる点が、兼業のメリットだと思います。また、もともとインドア派でしたが、自然が身近にあるのでキャンプ、登山、海などに行くことも多くなり、アクティブになったという点で、新たな自分の一面に気付けたのも良かったなと思っています」

もともとインドアであった金井塚さんが、鳥取での毎日がとても楽しい、アクティブになった、と笑顔で語られているのを聞き、鳥取県の自然は人を惹きつけるものすごい魅力を持っているのだと再認識することができました。また、鳥取で暮らしてみて気づいた「鳥取県の強みや良さ」についても聞いてみました。

「食については本当に季節ごとに美味しいものがたくさんあり、数多くの特産品があることと、多くの人と関わる中で、本当に温かい人が多いなと感じますね。これほど多くの人と関わることができたのは人生で初めてだと思います。会う人皆さんがとても優しい方ばかりで、多くの人の助けを借りて私があるのだなと日々感じています。あとは、身近に山、川、海があり、きれいな星が見えるなど、自然が豊かなことですね。今までは関東に住んでいて、遠くに行って旅行で楽しむことはありましたが、それが身近にあることが魅力だなと思います」

倉吉大原トマト

もともと金井塚さんの鳥取県庁での兼業期間は1年でしたが、鳥取での暮らしが楽しくて2回延長し、鳥取での兼業生活は計3年間に及んだということでした。この4月に兼業を終了し、フライトに専念することになったとのことです。

「これから様々な場所に乗務しますが、自分が移住者として感じた鳥取の魅力を、お客様との会話などを通して、もっともっと機内でPRしたいと思っています。また、ほかの社員にも鳥取県の魅力を伝えるなど、最終的には鳥取便のお客様を増やしたいです。鳥取県の方は、他の観光地と比べて鳥取には自慢できるものがないとおっしゃる方もいますが、移住した私からすると魅力が沢山あるなと感じます。当たり前になってそれに気づいてないだけだと思うので、鳥取の魅力を是非、鳥取県の方自身で発信できるような気づきにつながるといいなと思っています」

兼業は県にも個人にもメリットを生み出す

今回の取材を通じて、ANA職員が鳥取県で兼業をすることは、双方にとって様々なメリットがあることが分かりました。

鳥取県側のメリット

1.ANAのCAという、普段フライトで様々な地域を訪れている人が情報発信することで、その注目度や信ぴょう性が高まり、より多くの人々の関心を得ることができる。

2.接遇研修やメイク講座など、CAとしての知見を生かした取り組みを地域に還元することができる。

3.実際に移住し地域と関わることで、地域の活性化につながるとともに、県民のシビックプライドの醸成にもつながる。

メイク講座
おもてなし研修

個人のメリット

1.兼業を通して視野が広がり、自身の新たな可能性に気づくことができる。

2.多くの人々との出会いや交流があり、人脈が広がるとともに様々な学びを得ることができる。

3.社外に出ることでCAという業務を離れた視点から見つめ直すことができ、兼業で学んだことをCA業務に生かす方法を考えることができる。

兼業を行うことで、双方に様々なメリットがあることを考えると、この兼業の取り組みは全国で広く取り入れられていくべきだと感じました。鳥取県では、今後もANA職員の兼業の取り組みを継続していきます。以下のサイトを閲覧いただき、鳥取県の魅力に触れていただければ幸いです。

構成/吉田光来(一般財団法人 地域活性化センター)

とっとりdiary(@tottori_diary) • Instagram写真

とっとりdiary / tottori diary – YouTube