
小学館グループの一員として、自治体向けの取り組みを数多く進めているこどもりびんぐ。
今回は、行政案件を担当するパブリックビジネス推進室の永田由希枝さんに、小学館グループの中で同社が担っている“子育て世帯に届く仕組み”について話を聞いた。
ちなみに永田さんが手にするのは、『あんふぁん』『ぎゅって』の公式キャラクター「ポンちゃん」。
まずは2誌を支える調査機能「シルミル研究所」から話が始まった。
『あんふぁん』『ぎゅって』は全国約8000の幼稚園・保育園に配布され、両誌合わせて発行部数は92万部。先生から保護者へ手渡されたり、園バッグに入れられたりすることで、必ず家庭に届く仕組みをつくってきた。
その制作・配布を手がけるこどもりびんぐには、独自のシンクタンク『シルミル研究所』がある。このシンクタンクでは、『あんふぁん』『ぎゅって』の読者組織と公式Webサイト『&あんふぁん』の会員、合わせて約8万人を対象にアンケート調査を行えるのが強みだ。
永田さん(以下、永田):
「施策を実施したあと、どう受け止められたかを丁寧に検証できます。シルミル研究所を活用すれば、調査 → 効果検証 → 仮説 →次の提案というサイクルをスピーディに回せるんです」
この仕組みが活きたのが、横浜市から受託した16ページの冊子「ずっと子育てしたいまち よこはまBRANDBOOK」だ。
横浜在住の読者会員に協力を依頼して、「住みやすさ」や「子育て環境の魅力」といったリアルな声を誌面に反映。
さらに冊子は『あんふぁん』『ぎゅって』首都圏版に貼り付けて園に配布し、ターゲット世帯に確実に届けることができた。

「実際に冊子を読んで横浜の印象が良くなった、引っ越し先候補に入った、という声が多く寄せられました。自治体の目的に沿った効果を裏付けて報告できたのは大きな成果でした」と永田さん。
一方、埼玉県から委託された「共育て導きの書」関連案件では、小学館グループの株式会社Candeeと連携し、動画広告を制作した。
永田「結果は目標再生数の400%を達成。さらに、視聴者の半数近くが実際に“共育て”の行動をしたいと感じたという効果も確認できました」
園とのネットワークを生かした「確実に届く配布ルート」と、シルミル研究所による「調査と検証」。こどもりびんぐは、この2つを軸に自治体案件をサポートしてきた。
永田「子育て世帯に情報を届けるだけでなく、その声を集めて次につなげていきます。小学館グループの連携を活かしながら、自治体のみなさまが安心して広報を進められるよう支援できればと考えています」
文/安藤政弘 撮影/横田紋子(小学館 写真室)