
小学館の地方創生メディア『ロコ・ラボ』は、2024年に一般財団法人地域活性化センターと連携協定を締結した。東京・日本橋に構える地域活性化センターは、地域活性化や地方創生を担う人材を育成し相互の情報交換やネットワーク構築の機会を提供する場。全国の地方公共団体の担当者が集結している。
この連携協定により、全国各地の地方公共団体で活躍する20〜30代の地域活性化センターの職員が執筆する記事をロコ・ラボに掲載したり、地域活性化センターから数名をロコ・ラボにインターン派遣したりと、人材交流しながらさまざまな連携取り組みを行っている。
◎地域活性化センター
今回ロコ・ラボでは、地域活性化センターに「地域の課題と若手世代の意識」を調査するアンケートを実施。現場の最前線で地方創生に携わる職員だからこそ見える、「地域のリアルな苦悩」と「未来への提言」が浮き彫りになった。

今回、人口約5000人~約270万人の規模の全国の自治体から地域活性化センターに集まった職員にアンケートを実施。20代(57.7%)、30代(38.5%)、40代(3.8%)の26件の回答が集まった。人口減少に悩む各自治体の現状や施策の限界、そして若手職員が考える「本当に必要な支援」が明らかになった。

まず「自身の地域が抱える課題で最も気になるテーマ」を尋ねたところ、「人口減少(15.4%)」と「職業選択の少なさ(15.4%)」が同率で1位に。次いで「少子高齢化」「関係人口の獲得」「インフラの老朽化」がそれぞれ11.5%と続いた。回答の理由として、以下のような声が挙がっている。
※【 】内はアンケート回答者の派遣元エリア
「当県は2023年に人口が80万人を下回り、2050年には60万人程度となることが予想されている。人口減少はあらゆる分野に影響する課題だが、対策には長期的な取組が必要であり、また正解がないことから、非常に深刻なものと捉えている」【中部地方】
「消滅可能性自治体にも認定されており、将来的にも危ぶまれているため」【北陸地方】
「Iターンすることを決めた際に、賃金の安さ、業種の少なさにより、地元に戻りたくても選択肢がない」【中国地方】
「若年女性の流出が深刻だが、女性が働きたいと思う職場が少ない」【九州地方】

「現状として社会増は成し遂げているものの人口は減少しており、いかにして移住者を増やし子育て世代を拡充・支援するか取り組む必要があるから」【九州地方】
「高齢化率が全国的に見ても高く、医療・介護人材や教員の人員確保が深刻化しているため」【四国地方】
「これといった観光スポットや特産品等がなく、関係人口を創出しづらい印象がある」【九州地方】
「人口減少の動向は避けられるものではなく、地域経済を健康に保つには関係人口の獲得が鍵となると思うから」【東海地方】
「電車がない、バスの本数も少ない、車に依存している」【九州地方】
こうした回答から、単なる「人の移動」だけでなく、地域経済の受け皿となる「仕事の質と多様性」の欠如が、大きな障壁となっていることが伺える。

また若年世代の流出については、84.6%の職員が「問題視している」と回答した。その原因の多くは進学や就職だが、注目すべきは「地域の魅力不足」や「心理的要因」だ。回答をまとめると、大きく下記のような問題点が見えてきた。
大学進学を機に地域を離れた若者が、そのまま戻らない構造的な課題が浮き彫りになっている。一方で「転出はするが転入もある」「大学進学時に一定数の流出はあるが、戻ってきている印象も強い」「ベッドタウンのため人口は増えている」といった回答も見られた。

こうした課題に対して各自治体では、「UIJターン支援」「子育て支援の充実」「シティプロモーション」など、さまざまな対策を講じている。
例えば、街を盛り上げたいと考えるZ世代の若者と自治体が連携して各種事業に取り組むプロジェクトの企画(北陸地方)や、神社仏閣の縁にちなんだ婚活事業(中国地方)、女性のデジタル人材育成プロジェクト(中部地方)、工場誘致による雇用創出(九州地方)、U・Iターン者向けの県内企業研究会の実施(中部地方)、雇用する企業が奨学生に代わって返還する奨学金制度(九州地方)など、多くのアイデアや企画が実施されている。
しかしこれらの施策に対し、職員からは「行政が制度を整えても、個人の出会いや体験まではコントロールしづらく、成果が見えにくい」「既存の若者への支援が薄く、転入者ばかり優遇されている」といった、現場ならではのジレンマも吐露された。
今後自治体が取り組むべき施策として、若手職員からは従来の枠組みにとらわれないアイデアが多く寄せられた。
(※シビックプライド:都市や地域に対する市民の「誇り」や「愛着」のこと)

今回のアンケートから、若手自治体職員は「人口を維持する」という従来の目標に限界を感じつつ、いかに「地域で暮らす満足度」を高めるかという方向に目を向けていることが分かった。
中には「住民との対話が面倒という空気がある」といった組織風土への苦言もあり、地方創生の成功には「新しい施策」以上に、行政内の意識改革と、住民一人ひとりの「この町で生きていく」という意識を育てる支援が不可欠である。
★小学館ロコ・ラボは今後も地域活性化センターとのアンケート記事作成、自治体の深堀り取材など不定期で掲載予定です。
構成・文/コティマム