
日本を代表する左官職人であり現代アーティストの挾土秀平(はさど しゅうへい)氏(職人社秀平組)による展覧会「もう一つの幽玄 於真珠庵 挾土秀平」が、通常非公開である京都・大徳寺塔頭「真珠庵」で9月5日(土)から開催されている。重要文化財である長谷川等伯や曾我蛇足らの名画と、左官の枠を超えた現代アート作品10点が400年の時を超えて響き合う特別展覧会だ。
総理公邸やアマン東京のレセプション・エレベーターホール、NHK大河ドラマ『真田丸』の題字などを手掛け、伝統的な左官技術を現代アートへと高めてきた挾土氏。本展では、建築における塗り壁の枠を超えた、まだ名前のない新たなジャンルのアートピース全10点が初公開される。
作品には土・砂・石灰・藁といった自然素材が用いられ、自然観や死生観を表す挾土氏本人の言葉が添えられている。一休禅師に捧げる作品「雪真珠」では、飛騨の黒土をベースにしたグラデーションや夜明けのカラス、月などが繊細に表現され、作品・空間・言葉が一体となった「もう一つの幽玄世界」を作り出す。

また、能面作家・中村光江氏の能面に触発され制作された「群青の落葉」など、能や伝統文化との深い対話を感じさせる作品群が展示されている。
会場となる真珠庵は一休宗純禅師が開祖。観阿弥・世阿弥の菩提寺としても知られる能と縁の深い歴史ある寺院だ。本展の開催に伴い、普段は非公開の重要文化財である本堂や書院「通僊院」、史跡名勝「七五三の庭」が特別公開される。

室内には、長谷川等伯筆「商山四皓図」「蜆子猪頭図」や曾我蛇足筆「四季花鳥図」「四季山水図」といった天才絵師たちの障壁画が遺されている。室町・桃山時代の名画と同じ空気の中で挾土氏の最新作が並び、400年の時を超えた唯一無二の空間共創が展開される。
真珠庵の山田宗正住職は、本展に向けて「現代の左官界を牽引する挾土秀平氏が中村光江氏の能面に触発されて壁を塗り、一つの作品として真珠庵の方丈書院に飾る。全く新しい試みである」とコメント。
かつて能登の七尾から京都画壇へ彗星の如く現れた長谷川等伯になぞらえ、「幽玄の中心地への飛騨高山からの殴り込みである。その意気やよし!繊細にして大胆、リアルロックンローラー挾土秀平と秀平組の今を篤とご覧あれ」と期待を込めて絶賛している。
