
都心の超高層ビル群の真ん中で、地方の食文化や農業の魅力を都市住民へ届ける持続可能な取り組みが続いている。 森ビル株式会社が運営する六本木ヒルズけやき坂コンプレックスの屋上庭園では、今年で22回目となる「稲刈り」イベントが10月3日に開催された。今回は愛媛県とコラボレーションのもと、六本木ヒルズの居住者やワーカーら約150人が参加し、都市にいながら地域の農や食の魅力に触れる貴重な交流の場となった。

六本木ヒルズの地上約45m、広さ約1,300㎡に及ぶ屋上庭園では、都市緑化の推進や自然体感の機会提供とともに、食育や環境意識を高めるさまざまな活動が行われている。
特に水田を活用した取り組みでは、2006年から「東京から地方の魅力を発信すること」を目的に全国の地方自治体との連携を開始し、毎年異なる地域の米を育てる取り組みを継続してきた。

22回目を迎えた今回は愛媛県とタッグを組み、初夏に植えた愛媛県のオリジナル品種「ひめの凜」の収穫を迎えた。
オープニングでは、主催者である森ビル株式会社タウンマネジメント事業部の梶ヶ野瑶子氏と、愛媛県東京事務所産業振興部長の菊池豊美氏が登壇し、都市と地方を繋ぐ本プロジェクトの意義や両者の連携について紹介。さらに愛媛県イメージアップキャラクター「みきゃん」も登場し、会場に華を添えた。

当日は、六本木ヒルズの住民やオフィスワーカーら約150人が参加。

参加者たちは水田に入って手作業で「ひめの凜」を刈り取った後、

稲束作りや脱穀、天日干しにする「はざ掛け」まで、一連の伝統的な農作業工程を体験。

また単なる農作業体験にとどまらず、地域の食文化や特産品の魅力をダイレクトに伝えるための工夫も散りばめられている。会場内では「ひめの凜」の試食や、「絹かわなす」漬物の試食、名物のみかんジュース蛇口体験、子ども向けみきゃん塗り絵&折り紙ブースなど、盛りだくさんの体験プログラムが実施され、都市住民が地域の味覚や楽しさを実感できる場となった。

会場となった屋上庭園は、水田や畑、四季折々の樹木を備えた空間。雨水の再利用システムや周辺より表面温度を10℃~15℃下げる緑化効果、さらに庭園の重量を活用して建物の揺れを抑える制震システム「グリーンマスダンパー」など、高度な環境・省エネ配慮が施されている。
普段は非公開の庭園だが、「ヒルズ街育プロジェクト」や「キッズワークショップ」などの体験機会を通じて、都市で暮らす人々や子どもたちが農や自然環境について学ぶ場となっている。
都市の中心部から地方の魅力を多角的に発信するこの取り組みは、都市住民の地域への関心を高め、将来的なファンづくりや関係人口の創出に繋がる官民連携の好事例といえる。