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大都市圏がゴージャスな返礼品で逆襲!地方VS都市の様相を見せ始めた「ふるさと納税戦争」の行方

2025/05/01

※この記事はDIMEに掲載されたものです。

ふるさと納税はコロナ禍の巣ごもり需要で急成長したといわれているが、Data1をみると、昨年は寄付額合計が初の1兆円超え。さらに来年度はあの『Amazon』が仲介業に参入するという噂もあり、ますます目が離せない。

返礼品人気ランキングの4位と5位はトイレットペーパーとボックスティッシュ

これまでのふるさと納税の急成長を押し上げたのは間違いなく肉や魚介類、フルーツといった各自治体の豪華な特産品で、それ目当てで寄付をした人も多いだろう。もちろんその流れは健在だが、2024年最新の返礼品人気ランキングの4位と5位はトイレットペーパーとボックスティッシュなのだ。

「実は返礼品の人気ランキングTOP10内に日用品が入ったのは、今年が初めてのこと。また、ふるさと納税のお礼品として人気イメージが強いお肉のお礼品でも日常づかいしやすい切り落とし肉のお礼品の人気が高まっているのが2024年の傾向です」(大場さん)

また、ふるさと納税によって税収が大幅に増加する自治体がある一方で、東京などの大都市圏は無視できないほどに住民税が流出している現実もある(Data4)。しかし今後ふるさと納税に実用性を求める傾向が強まるとすれば、特産品が少ない大都市圏でも内容次第では、ふるさと納税による住民税の増収が望める可能性は十分ありそうだ。

ちなみに2024年の所得から控除を受けるには、年内に寄付する必要がある。今年もあとわずか。ふるさと納税はお早めに!

返礼品人気ランキングTOP10に日用品が入るのは「さとふる」史上初

さとふる 広報グループ
大場さくらさん

ふるさと納税を推進する総合サイト「さとふる」の広報グループに所属。ふるさと納税を広めるための活動を行なう。

Data1|2020年以降に急成長!!
コロナ禍に育った〝巣ごもり需要〟が今も後押し?

ふるさと納税の受け入れ寄付金額の推移

総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果」より

2008年にスタートし、各自治体による豪華な返礼品が話題に。2019年より返礼品は寄付額の3割までとする制度が制定されるも、翌年のコロナ禍で特産品の返礼品が巣ごもり需要にマッチ。昨年は寄付総額が1兆円を超えた。

Data2|年収が低い人はしないほうがいい?
年収とふるさと納税の相互関係

2020年にふるさと納税を行なった人の割合(年収別)

ふるさと納税をしない理由(年収別)

2022 ニッセイ基礎研究所「ふるさと納税をしない理由」より

ふるさと納税の寄付金は2000円の自己負担金を除く全額が税額控除の対象となる。年収が高いと収める所得税も上がるので得となるが、低いと返礼品の価値より自己負担額のほうが多くなることも。こうした「仕組やメリットがよくわからない」という人も多いのが現状だ。

Data3|返礼品の人気に変化の兆しが……
2024年、日用品が初めてTOP10内にランクイン!

2024年1月〜9月さとふる人気ランキング

さとふる調べ

毎年安定して高い人気を誇るのはホタテとシャインマスカット。またこちらにはランクインしていないが、大場さんによると記憶に新しい〝令和の米騒動〟によって8月の「米」寄付件数が前月と比較して2倍に増加したそうだ。

オホーツク海産は稚貝を放流してから育てており、養殖にはない旨味と食感が楽しめる。

酸味が少なく濃厚な甘さのシャインマスカット。日持ちの良さから贈答品にもピッタリ。

厚さ約10mmの厚切牛タン。すでに味付けもされているので、焼くだけで楽しめる。

静岡県富士市の再生紙トイレットペーパーメーカー『特種東海エコロジー』最高級品。

栃木県小山市『坪野谷紙業』が製造。大容量200組に20組増量し、たっぷり使える。

Data4|潤う自治体がある一方で…
住民税が大幅減収している自治体も

課税における市町村民税控除額の多い自治体

総務省「令和6年度ふるさと納税に関する現況調査結果」

人口が多い大都市圏では従来ならその分だけ税収があるはずだが、市民や区民がふるさと納税でほかの自治体に納税すればするほど、その分税収はマイナス。地方創生は重要とはいえ、さすがに厳しい。

Data5|制度スタートから16年!
認知度も高まり、広報活動せずとも寄付金が集まるように!

ふるさと納税の募集に要した費用(全団体合計額)

総務省「令和6年度ふるさと納税に関する現況調査結果」

高額な返礼品を抑制すべく、2019年より「寄付金額に対する返礼品の金額の割合は3割以下」が制定。ふるさと納税の知名度も上がり、広報費も減少傾向に。

深刻な税の流出を止めろ!
都市部がゴージャスな返礼品で逆襲しはじめた!!

「最近は都市部ならではの宿泊券やレストランでの食事券といった〝体験型お礼品〟に注目が集まっています。例えば『旅行券・チケット』カテゴリのお礼品の数を全国と東京で比較したところ、全国4%に対して東京都は14%でした」(大場さん)

こういった体験型お礼品は喜ばれそうだ。

スカイツリーが一望!

東京都墨田区【東京都墨田区】
スカイツリービューレストラン簾【平日限定ペア券】ランチ御膳(ソフトドリンク1杯付)

東京スカイツリーのオフィシャルホテル最上階のレストランで平日限定のランチ御膳が楽しめる。

船上で本格フランス料理

神奈川県【神奈川県】
マリーンルージュ ランチクルーズペア乗船券

横浜港のレストラン船「マリーンルージュ」で、横浜の風景を楽しみつつフレンチのコース料理が味わえる。

取材・文/高山 惠 イラスト/フジノマ