※この記事はHugKumに掲載されたものです。
松久永助紙店は、和紙を使って作られた糸を使って製品を作っています。紙がタオルになるなんて?少し意外ですよね。気になったので、実際に美濃和紙糸が使われたタオルを半年ほど使ってみました。この記事ではタオルの使い心地と、美濃和紙糸についてご紹介します。
今回取り上げる「美濃和紙」は、長い歴史を持っており、西暦702年の美濃国の戸籍用紙が正倉院に残っています。
現在では材料・道具・製法も多岐に渡るため、美濃和紙ブランド協同組合を設立し、「本美濃紙」「美濃手すき和紙」「美濃機械すき和紙」の3つに分類されています。
美濃和紙糸はを前述の3つの分類のうち「美濃機械すき和紙」に分類されます。同じように「機械すき和紙」には包装や印刷用に用いられる紙のほか、掃除機のダストパックやマスキングテープの原紙と身近な場面で使われています。
松久永助紙店で使われているの材料はマニラ麻。2〜3年で成長し収穫が可能な植物です。
成熟したマニラ麻は伐採後、葉脈部分を裂いて繊維を取り出します。その後、繊維を機械により均一で薄く強い大きな紙に加工。0.1mm単位でテープ状にカットされた和紙に数百回のひねりをかけることで美濃和紙糸が作られます。
紙糸になったあとは他の糸と同様、織ったり編んだりすることで生地、製品へと加工していきます。
紙から糸を作る文化は、綿糸や絹糸が入手できなかった山陰や東北地方などで江戸時代にはもうすでにあったようですが、明治時代には衰退しました。その後、昭和に入りさまざまな研究により復刻されたのだそうです。
松久永助紙店で購入したタオルは地の部分は綿100%でできていますが、白糸が美濃和紙糸、色糸が綿糸となっています。白いところは紙でできているのですが、わかりますか?
使い始めは「紙だから優しく使わないと破けてしまうのでは?」と考えることもありましたが、触ればすぐわかるほど強く、引っ張ってもパイルのループ部分が切れることはなく、まったく不要な心配でした。
我が家では裏面の綿でできている部分は柔らかいため触り心地の違いを楽しんで使っていましたが、小さいお子さんや肌の弱い方が肌を拭くには紙糸が硬目なので、使う時にはポンポンと肌に当てるようにして水分を拭き取るのがよさそうです。
ちなみに、洗濯をして乾いたらすぐに使うということをを半年間繰り返した今もしっかりとコシがあり、まだまだ使い続けられます。
販売元の松久永助紙店によると紙糸にはたくさんのメリットがあるそうです。その一部を紹介します。
和紙糸の断面を電子顕微鏡で見ると渦のように何層にも重なる特殊な形状をしています。寒い時期に重ね着をすると服と服との間に空気の層ができて暖かくなるのと同様、和紙糸で作られた製品は断熱性・吸湿放湿などの特性を持っていると考えられるそうです。
木材のパルプで作られた紙糸と松久永助紙店で使われているマニラ麻紙糸の抗菌性を専門機関で試験した結果によると、木材パルプを使用した紙糸と比較して抗菌作用の高さはかなり高いものとなっていました。
冬になると「バチっ」と起こる静電気。和紙糸ではその静電気が発生しにくくなっています。また、綿の1/3という軽さや通気性の良さ、消臭効果も持ち合わせます。これらの特徴を活かした製品の一つに靴下があります。
筆者が使用してみたところ、冷え性で冬には足先がガチガチになってしまうのですが、美濃和紙靴下は保温性を持つのでほんのりと暖かく、生地が初めの数回はゴワゴワした感じがあったものの、馴染むにつれてサラサラに。とても快適に履くことができました。気になる方はぜひチェックしてみてくださいね。
植物から作られる和紙糸。SDGsの面でも当てはまるものがあります。
肌に優しい天然繊維でありながら、消臭性・抗菌性などの高機能を持っています。
2、3年で成長する原料であるマニラ麻を使用しており、環境を壊しません。また、微生物による生分解も早く、土にかえる安心の素材です。
原料の仕入れや製造工程までロット管理を徹底。また、全製造工程で有害な化学物質は使用しておらず、発生する排水に関しても件の基準値の1/10以下を達成。製紙工場はFSC認証を取得していて、持続可能な森林環境に貢献しています。
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